ユーロは対ドルユーロ安

 今年の欧州経済を見るときのポイントは「政治リスク」である(トランプも政治リスクともいえる)。英国のEU離脱の国民投票、12月のイタリアの憲法改正の投票に見られるように、移民問題を主として、中流以下の市民が変化を求めている。

 今年も3月オランダ総選挙、5月フランス大統領選挙、秋にはドイツの総選挙が実施され、さらに先の投票を受け、イタリアでも年内に総選挙が行われると考えている。このような中で、今後はさらにユーロ安が進行すると考えている。

 通貨の表示には順位がある。日本円の対ドル相場なら、通常は1ドル=〇円、といった形で、基軸通貨のドルを先に表記する。ドルより上位は過去の基軸通貨であったポンドが強く、1ポンド=〇ドルといった表示になる。ユーロはポンドよりも強く、すべての通貨に対し、1ユーロ=〇という表示形式をとる。

 そのユーロであるが、2007年あたりは1ユーロ=1.5ドルで取引されていたが、現在は下落を続けている。為替の世界にはパリティ(Parity)という言葉がある。そもそもは、均衡・平衡という意味であるが、要は1ユーロ=1ドルということである。

 為替の市場では目標が見えると、そこを““狙いたくなる性質””を持っている。欧州の政治リスクが縮小することも考えられず、当面は1ユーロ=1ドルを目指して下落を続けよう。

 英国ポンドもEU離脱問題で、31年ぶりの最安値を更新するなど下落が続いている。31年前とはサッチャー登場前の「英国病」の時である。EU離脱が現実のものとなりつつなる動きとともに英国ポンドは下落を続けよう。しかし、ポンド安のお陰で、英国の輸出と観光が好調で、英国株価は史上最高値を更新した。

人民元は安定へ

 最近の中国人民元の運営は明らかにトランプを意識している。10月1日にIMFの通貨SDRに採用されるまでは安定させていたが、決定後は意図的に下落させている。2008年9月のリーマンショック以降、緊急対応で固定した6.82~6.83元のレベルもあっさりと割った動きは明らかにそのためだ。

 トランプは大統領就任以前から中国を為替操作国と名指しし、制裁を加えようとしている。しかし1月20日の大統領就任前は何もできない。中国の経済成長率も落ちてきており、20日までに人民元を下落させ、輸出を振興させ、過剰な在庫を減らしたいのであろう。ということは20日の就任が近づくのにつれ、されに安定させることが予想される。