「飲みニケーション」は悪!?
「正解」を知らず悩む上司

 ここまでは主にデジタルツールの進歩によるルール変化を取り上げてきたが、それ以外にも会社のルール変化に通じる要素はある。例えば、価値観や考え方が時代の中で洗練されることにより、会社のルールも変わっていくケースだ。特によく聞かれたのが、「後輩社員や部下との接し方」だ。

「部下への指導方法として、とにかく必要最低限の言葉で伝えるように会社から言われている。声を荒げたり叱ったりするのはダメで、優しく諭すように。パワハラが社会問題になったことが背景にあり、その方針は間違っていないと思う。ただ困るのは、自分が若い頃にそういった上司の指導を体験していないこと。若い頃は、怒鳴られ、根性論で叩き込まれてきたため、“優しく諭す”という指導をされた経験がない。見本がなく正解がわからないので、自分が教える立場になって苦労している」(44歳男性/不動産)

「後輩を飲みに誘う際は、とても気を遣うようになった。昔は上司に誘われたら問答無用で行く雰囲気だったが、今それをやったら大問題という認識。なので、誘うにも決して強引にならないように。その結果、自分たちが若い頃と比較して、社員同士が飲む機会は本当に減った」(58歳男性/精密機器)

 昔よく言われていた「飲みニケーション」という言葉はすっかり死語となり、むしろ悪い言葉のイメージになりつつある。それ自体は、価値観が洗練されてきた結果であり、“良い変化”と言えるかもしれない。無理やり部下が連れて行かれるのは、決して健全ではないだろう。

 一方で興味深いのは、部下への指導方法のコメントに見られた「自分が体験していないから、見本がなく正解がわからないので苦労している」というもの。どうしても、若い頃に自分が受けたやり方を踏襲してしまう人はいる。パワハラなどの概念は浸透してきたのだが、それを踏まえて“良い見本”のようなものが欲しいところだ。