完済年齢の引き上げは、ローンを借りる人にとってみると「悪い競争の結果」である。70歳まででも老後リスクが高いのに、80歳までのローンを組むのは論外だ。不動産会社や銀行が80歳まで組めますと言っても、利用してはいけないと肝に銘じておこう。

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 注意したいのは「団体信用生命保険(団信)があるから大丈夫」という言葉。

 80歳まで続くローンを勧められたというある45歳の男性は、モデルルームで営業の人から「男性は80歳まで生きていませんから、繰り上げ返済をせずに待っていれば、死んでローンが返せます」と言われた。まったく、ひどい話だ!

 厚生労働省のデータによると、60歳を迎えた男性の平均余命は83.4歳。男性も長生きなのがわかる。いつ死亡するかは、誰にもわからないし、決めることもできない。仮に完済の数年前の70代後半に亡くなって団信がおりたとしても、65歳からそれまでの家計収支の赤字のために貯蓄を取り崩すことになり、残された妻の老後資金は大きく減り、心許ない金額になっているだろう。

 ローンの団信は働いている間の返済に対する万一の保障だ。60歳以降、アテにするものでないことを覚えておこう。

 今回は借りる人にとっても耳の痛い話が続いたので、次回(2月8日掲載)は、老後に負担を残さないローンの組み方のコツをご紹介しよう。

(ファイナンシャルプランナー 深田晶恵)