南京事件の欧米人証言者が
中国のプロパガンダの中心に

 実は南京事件から80年という節目に、中国政府はいろいろな仕掛けをしている。一昨年にユネスコの記憶遺産に登録したのはその代表だが、実は昨年秋から、この記憶遺産の関連資料を展示する「海外ツアー」を始めているのだ。

 第一弾はフランス北西部カン。昨年10月23日から12月15日まで「1937南京大虐殺 南京の6週間」という企画展が催された。

 そう聞くと、愛国心溢れる方たちは「どうせ百人斬りの捏造写真とかでしょ」と思うかもしれないが、そうではない。実はこの企画展で大きなスペースを裂かれたのは、「欧米人の証言」なのだ。記憶遺産に登録されたという16ミリフィルム映像を撮影した米国人宣教師ジョン・マギーや、同じく「虐殺」の証言をおこなった米国人教授マイナー・ベイツ、シーメンス社南京支社長だったドイツ人ジョン・ラーベなどにスポットが当たっているのだ。

 もうお分かりだろう。こういう「欧米人の証言」を広める広報戦略を進めているなかで、アメリカ人女性が日本の「右翼ホテル」の告発映像をアップした。それが「仕込み」か否かはさておき、中国として、これをフル活用しない手はないではないか。

 このような3つの要素を踏まえると、アパの「右翼ホテル」批判は、中国で企業に向けられている愛国主義バッシングの次元を超えた、「南京大虐殺から80年」という節目に向け仕掛けられた「国際広報戦略」の一環である可能性が高いと考えられる。

 そんな大掛かりな話だったらアパのような一民間企業じゃ太刀打ちできないんじゃないの、という声が聞こえてきそうだが、その通りだ。だからこそ「謝罪すべきではない」のである。