それを前提に、ここまでに至る長い道のりを一度、振り返ってみてください。そして、今からもう一度「同じことを繰り返せ」と言われたら、あなたはどのように感じるでしょうか。たぶん多くの方は、「勘弁してくれ」と言うでしょう。「あの長い修業時代をもう一度なんてとても無理だ」――そんなふうに感じるのではないでしょうか。

 私は28歳で大学院に戻り、2年間、勉強した後にそれまでのマーケティング分野でのコンサルティングから、人と組織分野でのコンサルティングに専門分野をチェンジしました。それまでの業務経験はたった4年間。しかも、同じコンサルティング業務の中での専門性の変更という小さなチェンジでした。そんな小さな変化でさえも、またゼロからのスタートかと思うと躊躇がありました。

 これまで積み上げてきたものを失うもったいなさと、再び積み上げる面倒臭さ、長いであろう積み上げ期間に耐えられるかわからない不安…。「こんなことなら元の専門を続ければよかった」と何度も思ったものです。

 ましてやこれが40歳を過ぎ、会社の中でも自他共に認めるプロフェッショナルになっているとすると、「いまさら専門性の転換などとんでもない」という気持ちになるのはよくわかります。

 しかし、実際のところどうなのでしょうか。

 40歳を過ぎたら専門性の転換は無理なのでしょうか。いや、無理でないとしても大変な苦労を伴うのでしょうか。

 それがそうとばかりは言い切れないところが面白いのです。もちろん、職種によっては40歳を過ぎてから作るのが難しい専門性もあるでしょう。たとえば“身体で覚える”類の仕事は、その修業の特殊性も含めて難しいかもしれません。

これから寿司職人にさえ
なれるかもしれない

 若いうちの方が身体も柔軟ですから、覚えも早いでしょう。だから修業は若いうちに積むのが理に適っているわけです。

 ところが、そんな、身体で覚える技が必要な職種でさえも、近年は合理的な指導法を取り入れることで、短期間で基礎的な技能を教え込んでいる例もあります。たとえば、「寿司和食インターナショナルアカデミー」をご存じでしょうか?

 同アカデミーによれば、わずか1ヵ月の合宿授業で即戦力として働ける技術が習得できるといいます。しかも寿司の技術だけではなく、和食の基礎も併せてです。その後、短期間での起業までサポートするそうです。こうした学校が、今はたくさんあります。