「何兆円もの価値」がある!
共同声明の中身

 次に会談の内容を見てみよう。トランプ氏は大統領選挙戦中、日本について仰天発言をし、世界を驚かせた。

 1つは、「日本が在留米軍駐留費を増やさないのであれば、米軍を撤退させる」。もう1つは、「日本が核兵器を持つのは悪いことではない」。この発言で、日本人はトランプを恐れた。首脳会談の結果はどうだったのか?

「在留米軍駐留費を増やせ」という話は、まったく出なかった。そして、首脳会談最大の成果は、「共同声明」に記された以下の部分である。(太線筆者)

<両首脳は、日米安全保障条約第5条が(沖縄県の)尖閣諸島に適用されることを確認した。両首脳は、同諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する。日米両国は、東シナ海の平和と安定を確保するための協力を深める。>

 実をいうと、この一文には、「何兆円もの価値」がある。 

 説明しよう。「尖閣有事の際、米国は絶対日本を守りません!」と断言する「専門家」はたくさんいる。「米国が、日本の離島のために、中国と核戦争になるリスクを犯すはずがない」というのだ。

 実際、心配な事例もある。ジョージア(旧グルジア)では03年、革命が起こり、米国の傀儡サアカシビリ政権が誕生した。そして、ジョージアは08年8月、ロシアと無謀な戦争を行い、大敗北している。この時、米国は、もちろんロシアを非難したが、軍事力を使ってジョージアを助けることはなかった。

 結果、ジョージアは、南オセチア、アプハジアを事実上失った。ロシアが、両自治体を「国家承認」したからだ。

 さらに、ウクライナの例もある。14年2月、ウクライナで革命が起こり、親ロシア・ヤヌコビッチ政権が倒れ、親欧米傀儡政権が誕生した。同年3月、ロシアは、クリミアを併合。同4月、ロシア系住民の多いドネツク州、ルガンスク州が独立を宣言し、内戦が勃発した。

 ここでも米国は、ウクライナの「親米傀儡政権」を救うために軍隊を動かすことはなく、ウクライナは事実上、クリミア、ドネツク、ルガンスクを失った。

 もちろん、ジョージアやウクライナは、米国の軍事同盟国ではなく、米国が法的に両国を守る義務はない。しかし、米国の「冷淡さ」は、日本国民に不安を与える。