インターネットには、鉄道省を売国省と罵ったり断固としてそれを阻止しようと呼びかけたりする類の書き込みが多くのサイトに出ている。なかには「日本の新幹線システムを京滬高速鉄道線に使うことは中国の国家安全保障にとって重大な脅威だ」と警告を発する人間もいたほどだった。

 日本側にも中国の高速鉄道建設へのODAの提供に難色を見せたり、新幹線技術がほしいなら、釘の一本一本まで日本製にしろという無理難題な要求を出したりして、反対の声を上げていた勢力があった。

 そこで私と数人の仲間が国土交通省と意見交換会を数回行い、新幹線の売り込みに対して率直な提案もした。

 その一つは中国の発展スピードをしっかりと認識したうえで、行動を起こす必要がある。

 そのとき、挙げた例は高速道路のことだった。

 1978年中国が改革を始めてから、「中国の自動車が高速道路を呼んでいる」といった内容の詩が広く読まれた。人々は、高速道路を近代化の象徴と見て、中国にも早く高速道路が現れることを熱望していた。こうした国民の気持ちが、詩人にその詩を作らせたのだろう。

 そんななかで1988年、上海市内の全長20キロの滬嘉高速道路が開通したことで、中国の高速道路時代の幕開けとなった。それからわずか14年の年月しか経っていない2002年に、中国の高速道路延べ距離が2万キロを超え、世界2位の高速道路網を構築した。ちなみに、2016年現在、中国の高速道路延べ距離は13万キロ超となっている。

 だから、中国高速鉄道にもこうしたスピード感が出てくる可能性が大だ、という認識を持つべきだと主張した。