アニメーターにとって
「描く」ということは基礎

── 一方で、ミニ・マウイというキャラクターには手描きアニメーションが使われています。なぜCGと手描きという両方の技法を用いたのですか。

クレメンツ ここは、『アラジン』のランプの精ジーニーを担当した、エリック・ゴールドバーグたちが手掛けました。紙と鉛筆で描いたものをマッピングしたのです。

 ミニ・マウイとは、モアナのパートナーで半神半人のキャラクター、マウイの分身です。マウイにはナルシス的であり傲慢ながらも良心がある。ハートのある人だと分かるように、ミニ・マウイにその役割を与えました。それには手描きアニメーションの方が面白いと思いました。

マスカー 手描きアニメーションもCGも両方使うことで、20、30代の若いCGアニメーターがエリックのような伝説的なアニメーターから学ぶ機会を得られました。それが良かったですね。

──2003年にディズニーがCG制作への転換を掲げたことで、お二人はいったん、会社を辞められていますよね。その後復帰した後、2009年の『プリンセスと魔法のキス』では手描きアニメーションに回帰しています。手描きとCGとの間で苦しんできたのだと思いますが、その違いと良さはどこにあるとお考えですか。

マスカー ははは、そうですね。私自身、まだ絵を描いていますし、やはりアニメーターにとって「描く」ということは基礎だと思います。数本の線だけで豊かな表現ができるし、アイデアでパパッと描ける。

 それがCGとなると、デザインをきちんと決めてモデルを作らなければならない。時間がかかります。

クレメンツ 本作も当初、手描きアニメーションを検討しました。ですが今回は、われわれが実際に見た世界を観客に体験し、没頭してもらいたかった。それにはCGが最適でした。

マスカー そうですね。雰囲気に入り込む没入型の作品にはCGが向いていると思います。とはいえ、それは題材によって決めればいいと思います。