米ドルは一時85円台まで急反発しましたが、先週から反落に転じています。

 私は以前から、あの76円台で米ドルが大底を打った可能性はあるものの、それを試す「二番底」の可能性があると述べてきましたので、その意味では当然の結果だと思っています(「再介入の有無がドル/円基調転換の鍵に。V字型ではなくW字型で大底入れか?」など参照)。

 それでは、この先どうなるのか、米ドルの反落が続くのかを検証してみましょう。

76円台からの米ドルの反発はちょっと行き過ぎだった

 経験則でまず参考にしたくなるのは「二番底」のパターンです。

「資料1」をご覧ください。今回のように、G7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)の協調介入がきっかけで米ドルが底打ちし、反転した1995年のケースを見てみましょう。

 このとき、「一番底」から1カ月で約10%も米ドルは急上昇しましたが、それから1週間程度で米ドルは約7%も急落し、「二番底」を目指したのです。

資料1

 

 今回、76円台から85円台半ばまでの上昇で、米ドルの最大上昇率は12%程度にも達しました。

 現在はその渦中にあるのでわかりにくいでしょうが、この点でも、構図の似ている1995年のケースと比べて、米ドルの反発がちょっと行き過ぎだったと言えると思います。

米ドル/円相場のカギを握りそうなのはクロス円

 それにしても、安値から10%を越えたところで米ドルの反発が一巡し、反落に転じているのは、1995年のケースにおける「二番底」とよく似た動きです。

 このまま似た動きが続き、約7%反落するなら80円前後まで下落するという計算になりますから、その意味では、もう少し「米ドル安」が続く可能性はありそうです。

 こういった中で、カギを握りそうなのはクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)でしょう。ユーロ/円や豪ドル円は、短期的に「上がり過ぎ」の懸念が強くなっていました。

「資料2」は、短期的な行き過ぎをチェックするユーロ/円の90日移動平均線からのカイ離率ですが、一時は「上がり過ぎ」警戒域のプラス10%近くまでカイ離率が拡大していました。

資料2

 

 また、ポジション的にも「買われ過ぎ」の懸念がありました。

「資料3」は豪ドルのポジションですが、過去最高の買い越しとなっていたことがわかるでしょう。

資料3

 

 このように、クロス円には「上がり過ぎ」、「買われ過ぎ」といった行き過ぎ懸念があったので、そのような行き過ぎの反動が「円高」を後押しして、「米ドル安・円高」を継続させる可能性がありそうです。

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