TBS系テレビ「爆報!THEフライデー」でも紹介された『身近な人ががんになったときに役立つ知識76』。現役の国立病院の内野三菜子医師が、がんの主治医に聞きにくいようなことや、知っておいたほうがいいことなどを解説した本が話題になっています。
この連載では、その本の中から気になるところを、再編集して紹介していきます。
がんの治療後、会社の復帰時には
「就業規則」の確認を!
東京都出身。国立国際医療研究センター国府台病院 放射線治療室長。聖マリアンナ医科大学放射線科、埼玉医科大学国際医療センター放射線腫瘍科を経て、カナダ・トロントのプリンセスマーガレット病院放射線腫瘍科にて、日本人初のクリニカルフェローとなる。並行してトロント大学オンタリオ教育研究所(大学院)医学教育学にて修士号取得。帰国後、国立国際医療研究センター病院を経て、現職。日本医学放射線学会専門医(放射線治療)、がん治療認定医
Q がんの治療と仕事の両立に使える会社の制度を知りたい
会社員(労働者)の雇用は、会社との契約によって成り立っており、労働条件などを取り決めた「就業規則」があります。
就業規則では、労働義務のある勤務時間や日数、残業などの取り決めのほか、解雇する場合の条件なども取り決めています。従業員の定着を促し、勤労意欲を高めるために、福利厚生に力を入れている企業もあり、従業員が病気やケガをして仕事ができない場合に次のような制度やサポートがあります。
・ 時差出勤、時短勤務制度
・ 時間単位の休暇制度
・ 失効年次有給休暇の積立制度
・ フレックスタイム制度
・ 在宅勤務制度
・ 治療目的の休暇・休業制度
このなかで利用率の高いのは、時間単位の休暇制度(62%)、失効年次有給休暇の積立制度(61.3%)、治療目的の休暇・休業制度(61.3%)で、会社に制度があった人の6割が利用しています(「がん患者の就労等に関する実態調査」の結果)。
がんになると治療が長引くこともあり、なかには傷病手当金の給付期限1年6ヵ月を越えても復職できないこともあります。その場合、それぞれの会社の対応にはなりますが、退職を余儀なくされることもあります。
また、就業規則に時短勤務制度がなくても、産業医が「この患者さんには時短勤務が必要」と判断すると、認められることもあります。
専任の産業医がいない小規模の会社でも、就業規則は必ずあり、がんになる人も増えていますので、ある程度の規模の会社であれば、前例もあるでしょう。がんの治療を続けながら、仕事を続けられるしくみを人事部などに問い合わせてみましょう。
A 就業規則を確認して、どのような制度が使えるのかを確認する。