自分を否定せずに発散していく

元気だった親が弱っていく様子は、見るだけでもつらいものです。
そのうえ、親に対してよい思い出がないのに、愛ある介護をしなければと思う。
その矛盾に耐えられず、葛藤が生まれるのは当然です。

介護がつらくなると、「私が未熟だから」「私は冷たい人間です」という言葉を口に出す人は少なくありません。
しかし、決して本人のせいではありません。
介護に疲れ、余裕がないせいで、自分を責めてしまうのです。

それに気づくには、誰かに相談することです。
やり場のない気持ちを、ノートに書き殴るという方法もあります。
あるいは、人のいないところで大声で叫ぶ、カラオケボックスで思いっきり歌い、泣く…。

「きょうだいに対しても、介護の大変さや苦労をストレートに訴えてください。同居しているNさんだけが介護を担わなくてもいいはずです。不満はどんどんぶつけて発散してください。お母さんに対しても、必要以上に遠慮する必要はありません」
とNさんにはアドバイスしました。

親が要介護になると「弱い人」「守らなければならない人」と思いこんでしまいがちですが、たまにはケンカをしたっていいのです。
「一生懸命やっているのにわかってもらえなくてつらい」と、苦しさやさびしさをそのまま伝えましょう。