三菱UFJフィナンシャル・グループと日立製作所の金融分野における資本・業務提携によって、今年1月に誕生したジャパン・インフラストラクチャー・イニシアティブ。欧米やアジアなどへのインフラ輸出を支援する投資会社として、どのような独自性を目指すのか。経営トップが語った。(聞き手/週刊ダイヤモンド編集部・鈴木崇久)

――今年1月に誕生したばかりの新会社ですが、どのような投資会社を目指すつもりでしょうか。

ジャパン・インフラストラクチャー・イニシアティブ 西田直樹社長 Photo byToshiaki Usami

 全世界において、2030年までに57兆ドル、年平均で3.3兆ドルという巨額なインフラ資金需要が発生するという推計があります。この需要に対して、財政政策による公共投資で支援しても、毎年1兆ドルは資金不足が発生する見込みです。そのため、インフラ投資については民間資金への期待が非常に高い分野です。

 インフラ投資の市場におけるプレイヤーとしては、大手の海外インフラファンドや日本の官民ファンドがすでにいます。また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も今後、インフラ事業への投資を増やすと明言しているので、今後も資金の担い手は増えていくと思います。

 ただ、私たちは純粋な民間企業グループによって設立されたということで、特定の国やセクター(分野)、期間にとらわれず、フレキシブルに対応できる投資会社として、リスクマネーの供給を担っていきたいと考えています。

――今の話に関連して、他の資金の担い手との違いについて、もう少し詳しく教えてください。

 投資家の資金を預かって運用するインフラファンドとは異なって、当社は三菱UFJリースと日立キャピタルが大株主で入り、三菱東京UFJ銀行もマイノリティ(少数株主)として参画しているので、大型リースやプロジェクトファイナンス、メーカー金融のノウハウを活用できるという特色があります。

 また、日立グループと三菱UFJフィナンシャル・グループの資本が入った会社ではあるものの、どんな資本の会社であっても活用できる、あくまでオープンなプラットフォームにしていく考えです。

 いろんなメーカーやエンジニアリング会社、商社などと等距離な関係を築きたいと思います。

――投資資金を出す対象は日本企業になるのでしょうか。