女流棋士になるという熱い思いで
日本での生活をスタート

 2012年には第2期リコー杯女流王座戦の海外招待選手として再来日。1次予選に勝利し、女流棋戦で勝利を挙げた初の外国人女性に。2013年の第3期女流王座戦にも海外招待選手として出場し、一次予選に勝利するなど、日本での実績も積み上げていったカロリーナさん。2013年10月から本格的に日本で女流棋士への道を目指すこととなる。山梨学院大学の留学生として甲府に在住しながら、毎月2回は東京に赴き、研修会での対局を両立させる生活がスタートする。

「自分にとっては大きな賭けでした。プロになれるという確証はないし、海外で初めての一人暮らし。しかも当時はほとんど日本語はできませんでした。でもどうしても女流棋士になりたいと思ったんです」

 心配する母親からは引き留められたが、カロリーナさんの将棋に対する熱い思いを熟知する父親は「行きたいなら行け」と後押ししてくれたという。

 日本での生活で苦労したのは、やはり言葉の問題だ。

オフタイムも家で将棋を指したり、道場に行くなど将棋漬け。ただし大きな勝負の前日だけは将棋盤を見たくなくなるという。「勝負に集中するパワーを蓄えるため、体が自然にそうなるのだと思います」と語る

「ポーランドにいた時から少しは勉強していましたし、将棋の本に書かれている漢字の意味を調べたりはしていたんですが、あまり役には立たなかったですね(苦笑)」

 暮らし始めた当初は、レストランに行っても注文ができず、友達を作ろうと思っても言葉が通じず寂しい思いをすることもあった。

 現在は、「英語の方がラクだ」とは言うものの、日本語での受け答えも十分にこなせるほどになった。

「山梨学院での授業は基本的にすべて日本語。毎日、大量の日本語を聞くことですっかり耳が慣れました。今ではお寿司屋さんに行っても『ウニの代わりにマグロをお願いします』と注文できるようになりました」と笑う(カロリーナさんはウニが苦手)。

 言葉以外に日本の文化や習慣に戸惑うことはなかったのだろうか?

「日本に来たからには日本の文化を尊重します。ただ、『本音』と『建前』が違うことにはストレスを感じることも。『言いたいことがあるならはっきり言って!』と思うこともありますね」