しかし、これらをやれば必ず成功するというものでもありません。残念ならが100%成功する、という法則はないのです。

あえてアダルト需要に背を向けた
アップルに勝算はあるか?

 また、iPadの場合、過去にキャズムを超え、一般市場に浸透した機器との大きな違いがあります。それはアダルト需要との関係性です。

 過去に一般市場に浸透した機器のビデオデッキ、DVDプレーヤー、パソコンなどは、アダルトソフトの充実が先行し、その後一般の個人消費者にも浸透していきました。多くの説明は不要かと思いますが、アダルト需要はビジネス目的、娯楽目的の需要などと並び、大きな需要喚起の材料になります。

 しかしアップルは会社のイメージを壊したくないためか、アダルト需要とは距離を置いたスタンスを取り続けていますし、たぶんこれからもそれは変わらないでしょう。もちろんiPadでアダルトサイトなどの利用ができないわけではありませんが、それは既存の機器ですでにニーズは満たされています。アダルト目的でiPadを購入する人はレアケースです。

 iPadは過去の機器の需要を喚起させたアダルト需要なしで、キャズムを超えることができるでしょうか。パソコンとスマートフォンの中間的な位置付けのニッチ商品で終わってしまうのか、それともユーザーのメインの機器として定着できるのか、名経営者スティーブ・ジョブス率いるアップルといえども、そう簡単な命題ではありません。

 アップルも今のままで一般市場を攻略できるとは考えていなはずで、きっと一般市場のユーザーに訴求力のあるサービスの充実や利用方法の提案などを積極的に展開していくことになるでしょう。アップルが今後どんな手を打ち出していくのか、果たしてキャズムを超え一般市場を攻略できるのか、皆さんもぜひ注目してみていって下さい。