ロジャースは著書の中で、消費者が新商品を購入する人々を早い順に、

①イノベーター
②初期採用者
③初期多数派
④後期多数派
⑤ラガード(遅延者)

の5つのタイプに分類し、それぞれが市場全体に占める割合を算出しました。

iPadが本格的に普及するかを、<br />キャズム理論から考える

 パソコン、携帯電話、3Dテレビ、電気自動車など消費市場に登場してきた新商品をどのタイミングで購入するか、というのは個人個人の嗜好がはっきりと分かれます。また、形のある商品だけでなく、ネット上のサービスであるSNSやツイッターなども、この5つの順番でユーザーに広がっていきます。

 ロジャースの「イノベーション普及理論」は半世紀も前に発表されたものですが、日進月歩の現代のハイテク機器やインターネットの市場を分析するのにまさにピッタリのツールです。

iPadはまだまだ普及したと言えない

 では、現在iPadは5つのタイプのうち、どのタイプまで浸透しているでしょうか。それを考える上で参考になる数字として、世界でのインターネットユーザーが18億人という統計があります。潜在的にタブレット端末のユーザーになりうる母数を最大限でこの18億人とすると、iPadの2000万台というのは約1%です。この1%は5つの分類でいえば、まだ①イノベーター2.5%の中にとどまっていることになります。

 ちなみにスマートフォンの2010年の出荷台数は世界で3億台、全携帯出荷台数の約3割にのぼっていますので、③初期多数派にまで浸透してきている状況です。