未訳の最新ビジネス洋書のエッセンスが詰まった書評レポートを、PDFファイルで閲覧・ダウンロード提供する本連載。今回取り上げるのは、『ビジネスモデルを設計する』です。(書評レポート提供/エグゼクティブブックサマリー)
ビジネスモデルを作るための
9つの要素と画期的テンプレート
ビジネスは自由競争であり、常に市場の動きに注目し、自らの市場の中でシェアを獲得することにあります。そしてビジネスモデルとは、企業にとって顧客となりうる対象者へのアプローチに始まり、顧客を管理育成する具体的な策を示したものであると言えます。
ビジネスモデルを設計するとき、最も重要なカギとなる「情報」は、ここ十数年の間に、流れや速度が、ガラリと変貌したことは言うまでもありません。ITの登場により世界中のありとあらゆる情報を一瞬にして入手ができるようになったこと、そして、自らの情報を一瞬に発信することもできるようになったことが、変貌の大きな要因であると言えるでしょう。
もちろん、ITの技術ばかりではありません。常に流動する市場動向をみながら、消費者が何を考え、何を望んでいるのか?またそれにどのように応えるかといったことが可能になったとき、そこに新しいビジネスモデルが生まれるのではないでしょうか?
本書には、そうしたビジネスモデルを創造するたくさんのヒントが隠されています。
今回ご紹介する書籍『ビジネスモデルを設計する~洞察力、形成を逆転させる力、挑戦する気持ちを持つリーダーの為のハンドブック』は、二人の著者によって制作されました。
一人は、アレキサンダー・オスターワルダーで、ビジネスモデルイノベーションに関する著者、講演者、そしてアドバイザーとして活躍しています。もう一人のイブ・ピグナーは、企業収益を上げるために必要な9つの構成要素を理論的に解き明かし、誰にでもすぐに実践可能な「ビジネスモデル・キャンバス」というテンプレートを開発者しました。彼はスイスのローザン大学の経営情報システムの教授という経歴を持ち、ビジネスにおいては、学識レベルで精通している真のエキスパートでもあります。
本書では、ビジネスの設計図ともいえる「ビジネスモデル」を構成する9つの重要な要素と、その「ビジネスモデル」の“テンプレート”を活用した新規企業の立ち上げ方法、もしくは既存企業の再生方法を知ることができます。
9つの構成要素とは、
1.客層
2.価値命題
3.チャンネル
4.顧客関係
5.収益の流れ
6.主要リソース
7.主要活動
8.主要なパートナーシップ
9.コスト構成
です。また、“テンプレート”は、本書では「ビジネスモデル・キャンバス」と呼び、ハイテク機器とは対極に位置する、ビジネスモデルを設計するための究極のツールです。戦略的思考を最大限に引き出すこの実践的な極意を知ることで、今後競争の激しい世界を生き残る事ができる、いわば「未来の企業」を設計する力を養う事が出来ます。
ビジネスのキャリアからパターンを見つけることで、戦略的思考は、9つの構成要素を通じて拡大し、想像もしなかった新しいビジネスの可能性を生み出します。それは470人、45ヵ国のビジネスモデリングを実践し回答した著者の凡例をつぶさに反映させたIBM,エリクソン社、デトロイト社を始め、ロングテール・ビジネスモデルを取り入れ、売上げを増加させたレゴ社の成功事例から「ビジネス・キャンバス」との深い関連性を知ることができます。
アナログが革命を生む、最も斬新かつロジカルなツールがおさめられた本書は、ビジネスモデルを作りたい、あるいは作り直したいと考えている企業家および企業リーダーに、ニューエイジ的ガイドブックとして是非ともご一読頂きたい良書です。
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