日本の組織は90%が合議制を敷いています。その日本のユニークネスが、海外のビジネススクールでよく取り上げられますが、日本と海外では組織のあり方に大きな違いがあります。その違いは、多様性です。
国内でマネジメント経験のない人が、海外で突然その立場につくことがありますが、そこで、さまざまな問題を経験することになります。欧米の組織運用の考え方を日本にそのまま導入すると、期待はずれな結果に終わるように、日本企業の組織運用の考え方を海外で導入しようとすると失敗してしまいます。
今回は、多様性のある海外の現場とはどういうものかを紹介しながら、<When in Rome,do as The Romans do.> 郷に入れば郷に従え、人や組織に関わる考え方の輸出は難しい!というテーマで、日本企業の現地化にまつわる事例を紹介したいと思います。
一定ではない能力とスキル
異なる人材育成制度
■なんでこんなこともできないんだ
多くの日本企業が、製造部門だけでなく、開発部門の海外展開を急いでいます。日本人の赴任者が痛感することは、現地スタッフの能力にばらつきがあることです。日本企業では、潜在的な能力を見込める人材を新卒でまとめて採用し、長期的な視点で成長するような教育制度が構築されています。日本人は、現地でも組織が均質な能力であることを前提として、仕事をしようとします。
「これはどうやったらいいんでしょうか」
「えっ、こんなこともわからないの? 今までの仕事でやったことないの」
「ここまでの範囲は、やったことがありません」
海外で技術開発の現場を展開するとき、経験者を採用する機会が増えます。そして能力の格差が日本より大きいという問題に直面します。
海外へ開発現場を移転する時には、まずその国の教育水準を見極めなくてはなりません。一人の優秀な人材がいたとしても、その国の全体的な教育水準はどうなのか、日本と比較するとどうなのか、を判断しないと、チームで行う開発に時間とコスト面で大きな損失が発生します。