そもそも「開示義務」といえども、履行を担保する罰則がないので「ゼロ回答」もまかり通ってしまう。

主戦場の3項目を隠す

 今年2月のアイデム人と仕事研究所企業調査(901社が回答)によると、「できれば情報提供・公表したくない」項目として、「過去3年間の新卒採用者数・離職者数」「前年度の月平均所定外労働時間の実績」「平均勤続年数」が上位に挙がった。いずれも企業のブラック度の参考になる数字だ。面白いことにこの3項目は、同研究所が3月に調査した「学生が知りたい情報」(685人が回答)の上位にも並んでいる。

 12項目の多くは、企業にとって公開しても痛くもかゆくもないもの。主戦場はこの3項目である。

 人気企業ほど“強気に”消極的な姿勢を見せている。例えば就職先人気ランキングで上位にくる大手銀行、保険会社の情報を大手就職サイトで見ると、ほとんどが前出3項目のうちゼロか、1項目しか公開していない。個別に聞けば答えてくれるのかもしれないが、学生側が自粛することは想像に難くない。

「出したくないからといって伏せると、不信感を抱かせるだけ」と別の人材業界関係者。オープンにした方がミスマッチを防ぎ、結果的によりよい学生が採れるはずだ。

 売り手市場の追い風もあり、「昨春に比べれば情報公開が進んではいる」(業界関係者)。それでも、学生が本当に知りたい項目で今後も企業側に歩み寄りが見られないならば、国は働き方改革で掲げる「納得のいく働き方を実現する」ため、罰則などインセンティブを検討する必要性に迫られよう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)