日本でどんな高校に行っていても、「編入」という方法で、東大や京大よりランキングが上の海外のトップ大学に行ける!という方法を紹介した『東大・京大卒に勝てる!世界のトップ大学に編入する方法』という書籍も好調な山内勇樹さん。
一方で、5000組の親子と面談してきた教育コンサルタントで『できる子はどっち?』という著書もある沖山賢吾さん。
おふたりに、これからの子どもたちの教育を考えていくうえで、本当に「東大や京大」を目指すだけでいいのか、そもそも親の常識や思考を変えていかなければいけないのではないか、というテーマで語っていただいた。
今回は「教育費をムダにかけている親が多すぎる!2000万円かけて、GMARCHレベルでいいのか?」です。
(取材・文 黒坂真由子、撮影 宇佐見利明)

アジアランキング東大7位、京大11位、
早稲田、慶応は100位以下……。
日本の大学に行く価値はあるのか?

山内 先日2016年6月20日に、タイム誌「ザ・タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」から、アジアの大学ランキングが発表されましたが、ショックな結果でしたね。東京大学は10年来1位をキープしていたのですが、今年はなんと7位に一気に転落してしまいました

  1. 1位 シンガポール国立大学(NUS)/シンガポール
  2. 2 南洋理工大学/シンガポール
  3. 2 北京大学/中国
  4. 4 香港大学/香港
  5. 5 清華大学/中国
  6. 6 香港科技大学/香港
  7. 7 東京大学/日本
  8. 8 浦項工科大学校(POSTECH)/韓国
  9. 9 ソウル大学/韓国
  10. 10 韓国科学技術院(KAIST)/韓国
  11. 11 京都大学/日本
  12. 12 成均館大学校(SKKU)/韓国
  13. 13 香港中文大学/香港
  14. 14 中国科学技術大学/中国
  15. 15 国立台湾大学/台湾

「ザ・タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」アジア大学ランキング2016より

沖山 京大はベスト10にも入れませんでしたね。11位ですか…。指標が外国人の教員・留学生の数や、海外での論文引用件数だったりするので、これだけで大学のよし悪しを計ることはできないとはいえ、やはりグローバルという今の時代を考えると、単純に国際的な評価が下がるのはまずいですよね。

 東大、京大、早慶などは、文部科学省から「スーパーグローバル大学創生支援」という事業で、13校しかないトップ型に認定されて、毎年最大4億2000万円の支援を受けている最中ですから「何してるの?」ってことになりますよ。

山内 ランキング自体は適当に誰かが付けている数字だとしても、みんなそれを見て大学を選びますからね。アジアの学生が「東大に合格したけれど、シンガポール国立大学(アジアランキング1位)、北京大学(同ランキング3位)にも受かった」といった場合、やはり行くなら1位か3位になるでしょう。

ランキングが下がると優秀な学生を他の大学に取られてしまいますから、意味をあまりもっていなかった数字でも、意味を持つようになってしまうのです。だから東大7位というのは、相当きつい。

沖山 3位ならまだしも、7位って。早慶なんて110位以下ですよ。もう行く意味あるのかなって。まあ、慶應に行けば強力な三田会ネットワーク(慶應義塾大学の同窓会の名称)の一員になれるけど(笑)。

山内 でもまだまだ、東大・京大、早慶上智、という信仰は強いですよね。

沖山 親の期待もその辺りです。山内さんがすすめているように、どんどん海外へ出そうという親は残念ながら日本にはまだ多くはいません。逆にインドなどは徹底していますよね。アメリカの医者の4割がインド系といわれていますし、有名IT企業のCEOなどもインド系の方が多いです。それだけ多くの優秀な人材が海を渡っているということです。

日本の学生にもどんどん海外へ出て行ってほしいと思うのですが、親の意識が「中学受験」「東大・早慶への進学」くらいにしか及んでいません。だから「息子3人を東大に合格させた」なんて本が売れてしまうんです。