需給調整契約や、ピーク時の課徴金を“強制的に”実施するには、電気事業法第27条の発動により、具体的措置を定めるための政省令を策定する必要がある。だが、この手の“作文”は、官僚が得意とするところだ。大きなハードルではないはずで、実現可能性は高い方策である。

無理ない省エネは
継続して構造化する

 上記施策とは別に、無理のないかたちの省エネには自発的に取り組んでもらいたい。減らせる先は、「家庭」「事務所ビル」「産業」の大きく3部門が考えられる。

 特に効果が大きいのは「事務所ビル」と「産業」部門である。

 事務所ビル部門で電力量が多いのは、照明と空調、パソコンなどのデータセンターである。照明は人感センサーなどつけて、どんどん消す仕組みを導入したり、空調時に外から熱が入らないようにする工夫で、電気使用量をかなり減らせる。

 産業部門では、工場など製造プロセスに関わる電気と、事務部門のユーティリティ使用に大別されるが、意外と多く電気を使うのが後者である。事務所ビルと同様の方策で、相当量が効率化できるだろう。

 前者は、もう少し大きなグランドデザインが必要だ。鉄にしろセメントにしろ、社会全体のスループット(資源の消費と流通の総量)を引き下げる社会システムに見直さねばならない。資源のリサイクル化と再生可能化を推し進めるとともに、個別の工場プロセスについても、設備投資のタイミングでエネルギー効率を最適化するなど、大局的で多層な取り組みが不可欠だ。

 ただし、この手の取り組みを実現するには、時間を有するだろう。