第二に、中小事業者(50~500kW)には、「ピーク料金」を適用する。電気需要のピーク時に課徴金(サーチャージ)を上乗せし、ピーク需要が25%程度引き下げられるような価格設定を行う。結果、管内に約7万5000口ある対象需要家の電力量を約200万kW引き下げる可能性がある。

 ただし、このときの課徴金は東電の収入や国庫に入れるべきではない。中小事業者に節電メリットが出るように、省エネ投資への補助金に充てるとともに、需要家へのインセンティブとして還付する方式が望ましいだろう。

最も大きな効果が期待される
大口需要家との需給調整契約

 第三に、500kW以上の需要家に対する「需給調整契約」を、基本的には全需要家に拡大することだ。

 需給調整契約というのは、電力需給が逼迫したときに電力会社が使用削減を要請できるもので、通常は大口需要家との間で取り交わされている。現在、約1300件の契約がある模様だが、これを強制的に拡大するのである。

 たとえば2000kW以上の大口需要家は、東電管内に約2000万kW(約3000口)あると推定される。これら大口顧客には、ライフラインなど絶対に止められない設備や公共的に優先度の高い施設を除いて、国のあっせんのもとで基本的に需給調整契約を結んでもらう。ピーク料金との選択制にしても良い。これによって、全体でざっと約500万kWの低減効果が期待される。

 これには副次的な効果も期待できる。

 企業側に、いざというときに電気を止められる施設と止められない施設を自ら仕分けしてもらい、その情報を東電および国と共有しておくことは、社会全体で優先順位を見極めることにつながる。リスクマネジメントを強化することができるわけだ。

 また、500~2000kW以下の需要家は、およそ650万kW(6200口)あるものと思われる。こちらは、まずはピーク価格の適用から開始し、順次、大口側から需給調整契約へ誘導する。これで約150万kWの引き下げ効果が見込まれる。

 これら3つの施策を足し合わせると、合計1000万kW以上の削減効果が期待できる計算になる。大きなバッファーである。