東京電力は当初、大震災直後の休日明けについて、ピーク時の最大需要を例年どおりの数字そのままに4100万kWと見込んでいた。しかし蓋を開けてみると、当然ながら需要量は大幅に少なく、計画停電は限定的な地域・時間にとどめられることとなった。不幸中の幸いと言えるだろう。

 とはいえ、揚水発電を駆使しての数字であり、圧倒的に供給量が需要を上回るとは言えない。厳しい状況にあることに変わりはない。

 確実な電力需給を実現する方法があるのか? 

 震災直後は、強引な「無計画停電」だったものが、その後は「談合的節電」に進んだ。もう少し合理的な市場メカニズムを利用した、21世紀型施策を講じるべきではないだろうか。

需要家側の戦略的な管理が
夏場の電力需給には必須

 それには、需要家側の管理が欠かせないと考える。これをディマンドサイド・マネジメント(DSM)、あるいは「節電発電所」と呼ぶ。

 方策は、効果の小さいほうから以下の3点がある。

 第一に、家庭および中小オフィスビル等の小口電力(50kW以下)について、直接的な引き下げ効果を狙う。小口電力は、電気料金の変化に対してあまり需要量が変わらない、すなわち価格弾力性が小さいためだ。

 「お願い」という啓発ベースではなかなか進まないので、アンペアブレーカーを変更し、一律2割程度を強制的に引き下げさせる。家庭の電力使用量は常にフルアンペアではないので、一気に2割減るわけではないが、ピーク時の使用量を押し下げる効果はあるはずだ。

 たとえば、60アンペアなら50アンペアに、50アンペアなら40アンペアに、といった具合である。引き下げ効果の歩留まりが50%と仮定すれば、合計で約2500万kWある家庭・小口の最大電力量に対して、約250万kW引き下げることができる。