「投資信託? 銀行の窓口で勧められたりするけど、ソンしたって話も聞くし、なんか怖いかも……。」投資信託を買ったことがない、またはあまり知らない人は、おおむねこんなイメージかもしれません。
この度、20年以上資産運用に携わり、個人投資家の味方であるセゾン投信を立ち上げた中野晴啓氏が、公平な視点、スクリーニングを行なって長期で投資して資産づくりができる投信を選んだ『投資信託は、この8本から選びなさい。』を上梓。 その本の中から、投資信託について最低限知っておくべきことを4回連載でお伝えします!
ハッキリ言って、日本には
資産づくりに適した
よい投資信託がほとんどない!
投資信託。言葉くらい聞いたことがあるとは思いますが、実際に投資信託を買った経験をお持ちの方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
2011年1月末時点の、日本国内で設定・運用されている投資信託の残高は、63兆円。その中で機関投資家ではなく、個人が購入できる投資信託は2621本が運用されています。年金専用また機関投資家が買える投資信託もあわせるとなんと3740本にもなります。
しかし、個人金融資産が1400兆円だとすると、投資信託で運用されている個人マネーの比率は約4.5%。預貯金などに比べると、まだまだ少ないというのが現状です。
「貯蓄から投資へ」などと言われて久しいのですが、未だに投資信託で運用するという人が増えないのには、きちんとした理由があるからだと私は思います。
そう、ハッキリ言えば、日本には資産づくりに適したよい投資信託がほとんどないからです。
皆さんは、個人が投資信託を購入した場合の平均保有年数というのはどのくらいか、ご存知ですか?
何と平均でたった2.8年です!
これは一体、どういうことなのでしょうか。そもそも投資信託という運用商品は、長期の資産形成を図る目的で作られているものです。
そうであるのにも関わらず、3年も経たずしてせっかく買った商品を手離してしまうのです。長い期間、投資信託を保有することで資産をふやしていくという長期投資を強力にお勧めしたい私にとっては、非常に暗澹たる結果といえます。
多くの投資信託の保有がこのように短期に終わってしまうのは、これまでの長い歴史のなかで、日本の投資信託は単なる手数料稼ぎの道具、つまり販売する金融機関が儲けるための商品としかみなされて来なかったからです。
今まで、日本の投資信託といえば、目先のブームに乗って個人が買ってくれそうな商品性ものばかりが設定され、ブームが去ると解約が相次ぎ、短命に終わってしまうということが繰り返されてきました。
そう、それは「窓口」で「おすすめを買わされ」、そのお勧め商品の旬が終わって、基準価額が下がり始めると「乗り換えさせられる」からなのです。販売する金融機関は何度も売買してもらったほうが、購入時手数料が入ってくるわけですから、「長期投資」なぞ勧めるはずはないのです。
残念ながら、これが真実です。