女性が輝く社会へ、という旗印が安倍内閣より掲げられてはや数年。働き手としての女性の力に期待が寄せられる一方、その目論見は思うように進んでいない現状がある。2016年に世界経済フォーラム(WEF)より発表された男女平等度合いを計る「ジェンダー・ギャップ指数」において、日本は全144ヵ国中111位と過去最低水準。その大きな要因のひとつは、「男女の所得格差」の影響だった。
そのような背景を経て、「女性の生産性が低い」との議論が巻き起こっているが、編集者・軍地彩弓さんは「このままでは日本は世界有数の住みにくい国になる」と問題提起する。女性の力を活用するため、いま何が必要なのか。そして日本社会は今後、どのように変化すべきなのか、軍地さんに語ってもらった。(文/木内アキ)
「収入が低い=生産性が低い」は
女性の現実を見ていない議論
──「日本女性の生産性の低さ」についての議論に、違和感を覚えた理由を教えてください。
「女性に任せられている仕事が、そもそも付加価値の低いものが多い」「高い給与をもらう女性労働者が増えれば生産性が上がる」という主張には違和感を感じました。最初に確認しておきたいのが、収入の高さはあくまで生産性のひとつの結果であり、「収入が高い=生産性が高い」、とは言い切れないということです。