女性が輝く社会へ、という旗印が安倍内閣より掲げられてはや数年。働き手としての女性の力に期待が寄せられる一方、その目論見は思うように進んでいない現状がある。2016年に世界経済フォーラム(WEF)より発表された男女平等度合いを計る「ジェンダー・ギャップ指数」において、日本は全144ヵ国中111位と過去最低水準。その大きな要因のひとつは、「男女の所得格差」の影響だった。
 そのような背景を経て、「女性の生産性が低い」との議論が巻き起こっているが、編集者・軍地彩弓さんは「このままでは日本は世界有数の住みにくい国になる」と問題提起する。女性の力を活用するため、いま何が必要なのか。そして日本社会は今後、どのように変化すべきなのか、軍地さんに語ってもらった。(文/木内アキ)

軍地彩弓(ぐんじ・さゆみ)/編集者。大学在学中からリクルートでマーケティングやタイアップを中心とした制作の勉強をする傍ら、講談社の『Checkmate』でライターのキャリアをスタート。卒業と同時に講談社の『ViVi』編集部でフリーライターとして活動。その後、雑誌『GLAMOROUS』の立ち上げに尽力する。2008年には、現コンデナスト・ジャパンに入社。クリエイティブ・ディレクターとして、『VOGUE GIRL』の創刊と運営に携わる。2014年には、自身の会社である、株式会社gumi-gumiを設立。現在は、雑誌『Numéro TOKYO』のエディトリアルディレクターから、ドラマ「ファーストクラス」(フジテレビ系)のファッション監修や企業のコンサルティング、情報番組「直撃LIVEグッディ!」(フジテレビ系)のゲストコメンテーターまで、幅広く活躍している。Photo by Youhei Kurihara

「収入が低い=生産性が低い」は
女性の現実を見ていない議論

──「日本女性の生産性の低さ」についての議論に、違和感を覚えた理由を教えてください。

「女性に任せられている仕事が、そもそも付加価値の低いものが多い」「高い給与をもらう女性労働者が増えれば生産性が上がる」という主張には違和感を感じました。最初に確認しておきたいのが、収入の高さはあくまで生産性のひとつの結果であり、「収入が高い=生産性が高い」、とは言い切れないということです。