しかし最後には、商品のコンセプトに立ち返った。お土産を買った人から、受け取った人へ「結願をつなぐ」ため、代わり参りの仕組みを選ぶことに決めた。

町おこしの「魂」

 言い合いが絶えなかったが、結果として、メンバーの結束は強まった。私の脳裏には、激高した菓子職人が真っ赤な顔で叫んだ言葉が焼き付いている。

「大結願は、俺の子どもみたいなもんや! 俺が、責任を持って育てる!」

 腹の底から出た、一言。

 そうなのだ。自分が売る。本気で育てる。当事者としての強い覚悟が、町おこしの「魂」なのだ。

 発売まで、あと2週間。全力を尽くすのみである。

(本連載は毎週月曜日に掲載します。次回は7月4日です)