あえて顧客の期待値を下げることで
実際の顧客満足度を高める戦略
さて、この一般の床屋や美容院とQBハウスの戦略的な違いを顧客満足度の観点から考えてみます。アメリカのマーケティング会社J.D.パワーは、「顧客満足度」とは、「お客さま自身が実際に感じた価値」から「お客さまの期待」を引いた数値と定義しています。
確かに、高級レストランに行くときは、誰しも食事の味、従業員の接客サービス、店内の雰囲気などに高い期待を抱いて店に向かいます。そこで少しでも期待から外れるとガッカリという経験をされたことのある人も多いでしょう。逆に低価格の居酒屋では、もともと抱いているのはそこそこの期待値ですから、思いのほか味がよかったり、接客がよければ、満足度は高まります。
顧客は何らかの期待をしなければ、店に足を運んだり、モノやサービスを買うことはありません。ですから、企業は広告や宣伝をして顧客に期待を抱かせるのですが、逆にあまりに高い期待を抱かせてしまっては、実感値がそれに追いつかず、期待を裏切り、顧客満足度は下がってしまいます。それではリピーターになってくれたり、口コミでいい評判を広めてくれることはありません。