小3から「外国語活動」、
小5から「正式教科」! 何が大問題?

 小学校では、「外国語活動」が、小学3~4年生で年間35時間ずつ、小学5~6年で英語は「外国語」として正式教科となり、それぞれ年間70時間をあてられます。

 つまり、2020年から小学校では、3年生から年間35時間の外国語活動、5年生からは年間70時間の正式教科になるということです。

 小学校での英語学習のスタートがかなり早くなる。
 学ぶのは早ければ早いほどいいのだから大歓迎――確かにそのとおりです。

 しかしながら、決して手放しで喜んでいい状況ではありません
 一番気になるのは、小学校での4年間で習う英語の量が圧倒的に少ない点です。
 新学習指導要領では、小学4年間で覚える単語数は600語程度。これは現在の中学1年生が1年間で覚える語数と同じです。

 つまり、4年間で「中学1年間分」しか教えないということです。

 いまの「中学1年間分の英語」はそもそも中身が薄いのに、それを先取りするために小学校の大事な4年間を費やす――なんともったいないことでしょう。

 そのわりには、活動目標は壮大なスケールです。
 文化の多様性を尊重して、相手に配慮しながら聞いたり話したり、さらには読んだり書いたりすることについての態度の育成も含めたコミュニケーション能力の基礎をつくる、というわけです。

 いやいや、apple, park, police, stationレベルの単語を600語覚えたところで、「文化の多様性に配慮したコミュニケーション」など不可能です。

 その一番の原因は、
「12歳以下の子どもたちに、きちんと英語を教えるメソッドが存在しない」
 ということに尽きます。

 英語学習のスタート年齢を引き下げたはいいけれど、小さな子どもたちに英語の何を、どうやって教えたらいいか、誰もわかっていません。

 だから、手っ取り早く中学英語を小学校に引き下げて教えることを思いついたのでしょう。

 その背景には、「子どもはまだ小さいから、中1で習う600~700語くらいの単語を4年間かけて覚え、中学で勉強する準備をしておけばいい」という昔からの「子どもは幼稚な存在」という誤った考え方があります。