悲壮感を漂わせる夫婦の会話写真はイメージです Photo:PIXTA

世の中が株高に沸く一方で「生活は苦しい」と感じていませんか?実は日経平均が仮に10万円になっても大半の日本人は豊かになれません。銀行の収益構造から見えてくる「日本型経営の恐るべき搾取システム」の正体と、残酷な格差社会を生き抜く「たった一つの道」に迫ります。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)

不労所得が年3500万円?
株高で笑う富裕層のリアル

 日経平均が6万8000円台を突破しました。今年の年初は5万1000円程度で始まりましたから、半年弱で株価は35%も上昇したことになります。

 そして昨年の年間上昇率は28%、一昨年が20%でしたから日経平均の上昇ペースは加速しています。

 富裕層がどれくらい儲かっているのかを試算してみます。金融資産1億円を超える人を一般に富裕層と定義します。仮にその1億円を日経平均連動の投資信託で持っていたとして、毎年、年初に1億円を超えた分を換金してその年に使ってしまうとして計算してみます。

 すると一昨年は不労所得が2000万円、昨年は2800万円。今年は今のところ取らぬ狸の皮算用になってしまいますが、そのルールだと3500万円を使ってしまっても「財産は減らない」計算になります。

 3500万円というのは頭で考えてみるとわかりますが、なかなか使い切ることができない金額です。

 たとえば、ビジネスクラスで夫婦でヨーロッパ旅行に行くとしても使えるのは400万円程度。国内で最上級ホテルに連泊して毎晩贅沢なフランス料理や懐石料理を楽しんだとしても50万円程度。

 単純計算で毎日10万円近くを遣いきらないと減らないので、腕時計を中古のロレックスにして(知っている人は知っていますが新品よりも高いのです)、下着はポール・スチュアートにして、お昼の弁当はセブン-イレブンをやめて伊勢丹に変更するぐらいやって、ようやく1年分の消費ノルマが達成できる数字です。

 そうやって富裕層がせっせと消費してくれればまだ日本経済も上向くのでしょうけれども、実際はノルマを達成できずにひたすら株式に再投資する高齢の富裕層の方が多いのです。その投資でまた日経平均は上昇するというのがメカニズムになっています。

 そうやって日経平均がいずれ10万円を突破する日がきても、おそらく日本人はそれほど豊かにはなれないでしょう。そのことを3つの視点でわかりやすく説明してみたいと思います。