大柄のヤクザたちのなかに、小柄の私がちょこんと入っていったのですから、まるで座敷わらしのようだったでしょう。

  しかし、私はいたって大真面目です。

「……何?……あんた?」
「何って、私はこのホテルの支配人です」
「わかってるよ、だから何でここにいるの?」
「わたくし、支配人としてこの場に立ち合わせていただきます。さあ、どうぞお続けになってください。わたくしにはお構いなく。さ、さあどうぞ」

  すると男たちは、完全に戦意を喪失したようです。
  お互いにしばらく顔を見合わせると、私を世にも奇妙な珍獣を見るような眼をして、私にひと言、こう尋ねました。

「ねえ、……お前、俺たちが怖くないの?」

  私も、決して怖くないわけではないのです。
  でも、気がつくと、いつも体が動いて飛び込んでしまうのです。
  警察にも何度も命が惜しくないのかとお叱りを受けますが、これも性分なのでしょう。