大柄のヤクザたちのなかに、小柄の私がちょこんと入っていったのですから、まるで座敷わらしのようだったでしょう。
しかし、私はいたって大真面目です。
「……何?……あんた?」
「何って、私はこのホテルの支配人です」
「わかってるよ、だから何でここにいるの?」
「わたくし、支配人としてこの場に立ち合わせていただきます。さあ、どうぞお続けになってください。わたくしにはお構いなく。さ、さあどうぞ」
すると男たちは、完全に戦意を喪失したようです。
お互いにしばらく顔を見合わせると、私を世にも奇妙な珍獣を見るような眼をして、私にひと言、こう尋ねました。
「ねえ、……お前、俺たちが怖くないの?」
私も、決して怖くないわけではないのです。
でも、気がつくと、いつも体が動いて飛び込んでしまうのです。
警察にも何度も命が惜しくないのかとお叱りを受けますが、これも性分なのでしょう。
「おもてなしとは、命を張ること」
組の姐さんに、
「バックには大物がついているに違いない」
と決めつけられた!
日本一のクレーマー地帯でグループ売上日本一!警察から“歌舞伎町のジャンヌ・ダルク”と呼ばれた名物支配人が対峙した、ヤクザ、薬物中毒患者、モンスターサラリーマン、ホテルを保育園化するママ、地元警察等とのクレーム対応秘録。どうやってスタッフを守り、クレーマーをファンに変えたのか? エピソード満載!