一流と呼ばれるトップ営業マンは、どの業界の人でも共通項がある。準備が入念であり、お客様からのヒアリングが上手であることだ。お客様の要望をよく理解しているので、プレゼン資料も魅力である。このため、お客様の心を捉える力も強い。筆者はハウスメーカーでトップ営業マンになる前は、ダメな営業マンだった。その頃の苦い体験も含めて解説したい。(営業サポート・コンサルティング代表取締役、営業コンサルタント 菊原智明)

 さまざまな業界の「一流」と呼ばれる営業マンの方々とお会いさせていただく機会があるが、自分のことを“心配性”と言う人が意外なほど多い。

 心配性だからこそ、いろいろなことに気がつくし、十分な準備もできるもの。ごく稀に「俺はなんの準備もせずに出たとこ勝負で契約を取る」という営業マンもいるが、そんなのは100人に1人か2人もいればいいほうだ。とてもじゃないが普通の人が真似できることではない。

 準備なしで契約が取れる人は別として、結果を出すために十分準備をした方が、いい結果になるのは明白だ。

 しかし、「勝つ」ための準備ができている人は極めて少ない。

筆者の「苦い」経験談
時間をかけた資料が10秒で水の泡

 かつて私がハウスメーカーの営業マンとして、結果が出せず苦しんでいた時のことを語ろう。

 住宅営業は商談のテーブルに乗るまで非常に苦労する。家は、多くのお客様にとって一生に一回の買い物である。ちょっと声をかけたところで簡単に「じゃあ、おたくの話を聞こうかな」とはならない。何度も何度も訪問したり、電話でアプローチして、やっとのことでプレゼンのチャンスをもぎ取ることができる。