震災を著者と一緒に迎えたことから生まれた絆。それから1週間で書籍発行の企画が固まり、いよいよ取材・執筆・編集へ。ほぼ10日ですべてが完了し、4月14日に書店にならぶまでのプロセスをお届けします。

最初の打ち合わせは、
近所の喫茶店に、お互い自転車で集合!

――だんだんスピードが出てきた?

震災当日、著者のひとりである深田晶恵さんと6時間以上行動をともにしたことが、本書の出発点だった(詳しくは前回の記事参照)

木村 やると決まれば19日は土曜日でしたが、深田さんと私はご近所ですし、震災を共にした仲ですし(笑)。近くの喫茶店にお互い自転車で合流して、そこで数時間打ち合わせをし、その時に本の項目立てから頁数、それから各項目を担当する生活塾クルーの方々の分担、それとそれを文章化するライターさんの名前も入れていきました。

 今回は、クルーに所属している4名のみなさんにお願いしました。1章の緊急時のお金と保険の話は浅田里花さん。阪神・淡路大震災で実家が被災した経験をお持ちで、緊急時に何が必要になるのか、どんな行動をとればいいのかなどを書いていただきました。

 そして5章の保険関係は、医療保険、生命保険の専門家である内藤眞弓さんにお願いしています。また6章の住宅ローン関係は弊社から出版して10万部を超えた『住宅ローンはこうして借りなさい』の著書がある深田さん。

 そして今回、4章分という、いちばん多いページをお願いしたのが、損害保険、地震保険に詳しかった清水香さんです。分担が決まると、すぐにライターさんに電話して、ご都合を伺いました。

 次週からライターさんが、クルーの専門家のスタッフの方々にインタビューして本文原稿を作る。図版はクルーの担当者がつくる、という分担ができ、本の中身の概要と製作の手順は、ほぼ決まりました。ちょうどこの休日は3連休(19~21日)だったので、すべての方に連絡取ることができました。

――短時間によくそこまでまとめたね。

木村 それには多分、二つ理由があって、まず私自身、雑誌の編集をしていた経験があったことです。これは、ムックのような体裁で出そうと思い、雑誌のように分担を決めて同時に進めれば短時間で製作できるのではという読みがありました。だからこの時点で、文字統一などもすべて決めて、原稿を書く前にライターさんにその表を渡すようにしました。

 もう一つは、お願いしたライターさんがほぼ皆さん受けてくれたことです。クルーのメンバーと日頃から仕事をしているライターさんが即答で引き受けてくれたことが大きいですね。

 それは震災で予定していた仕事がなくなって時間ができたという情況もありましたし、皆さん、何か復興につながる仕事をしたいという思いがあったのだと思うのですが、とてもタイトなスケジュールだったにも関らず受けてくださいました。