すべては「20年前」に始まった
20年前、日本では初代トヨタプリウスが発売され、長野新幹線が運行を開始した。国外ではビル・クリントン大統領が2期目の就任式に臨んだほか、IBMのスーパーコンピューターDeep Blueがチェスの世界チャンピオンを打ち負かし、チェスにおける人間優位の時代に終わりを告げた。そしてロシアでは、私と数名の仲間がコンピューターセキュリティのスタートアップを立ち上げた。
サイバーセキュリティに携わって20年間(研究者や開発者としての約10年間も追加)を過ごした今、この間に起きた変化を振り返るよい機会が巡ってきたと思っている。
端的に言えば、この20年で何もかもが変わった。世界はまったく違った場所になり、あらゆるものがデジタル化され、裏でコンピューターシステムが動いている。エレベーターからタービン、街灯、監視カメラまで、すべてがコンピューターで動いている。デジタルシステムへの依存は絶対的なものにも思えるが、今でも急速に進化している。デジタルネットワークとデータを利用せずに競争できる企業は、もはや世界のどこにも存在しないと言っていいだろう。しかし、ここに至るまでにはいくつか段階があった。
その皮切りはPCの普及だ。次に、PCがインターネットに接続されるようになると、大量のオンラインサービスが登場し、その後スマートフォンの利用と販売が急増した。今はモノのインターネット(IoT)活用の機運が高まるまっただ中で、次々に登場するデバイスはどんどんスマートになっていき、インターネットに接続されている。スマートコネクテッドデバイスの数はすでに世界人口を上回っており、間もなくさらに増えるだろう。