投資信託会社の運用理念、哲学を知っておくこと

中野 最後に、投資信託を買う前に知っておいたほうがよいというのは、「いくら儲かるか」というより、投資信託会社の理念、運用哲学というものも、きちっと見比べて、ファンドを選ぶということが重要です。

 なぜかというと、投資信託という金融商品は、長く付き合い続けていくものだからです。株式やFXなどのように、短期間のうちに売買を繰り返すというものではなく、ひとつのファンドを長期にわたって持ち続け、じっくり財産を殖やしていくためのツールです。それだけ長い間、付き合っていく必要がある金融商品なのに、ファンドを運用している会社の理念、運用哲学を全く理解せずにお金を託すというのは、あまりにもリスキーだと思います。

 理念や運用哲学を知るためにはどうすれば良いのかという質問もあるかと思いますが、それを把握するためには、投資信託会社のウェブ、あるいは運用レポートを読んでみてください。きちっとした運用哲学を持った投資信託会社なら、何かそれらしきことをきちっと書いているはずです。

竹川 逆に、何もこの手の文言が書いていないようなファンド、投資信託会社はダメだということです。たとえば、日本国内の運用会社のデータを集めた本には「運用哲学」についての記載があります。それをみると、かなり記述に差がありますね。

中野 大事なことは、投資信託会社と、ファンドを購入してくれている個人との信頼関係だと思います。信頼関係がしっかり構築されていれば、マーケットが乱高下しても、大勢の保有者がしっかり支えてくれます。ところが、目先の手数料を儲けようとして、短期の乗換営業ばかりを行っていると、ほんの少しマーケットが下がっただけで、すぐに解約注文が殺到してしまいます。これでは、長期運用で投資家の資産形成に寄与するという、投資信託会社本来の存在意義が全く失われてしまいます。

竹川 それと、投資信託を購入するならば、投資信託について書かれた本を2~3冊、読んでおくといいと思います。私の本でも中野さんの本でも(笑)。ある程度、投資信託がどういう商品であるかという基礎知識は持ったうえで、窓口に足を運んだ方が、先方の言いなりにならずに済みます。

 そして、少額でも良いから始めてみること。なかには真剣に選ぼうとするあまり、なかなか購入に踏み切れないという方もいらっしゃいます。たとえば、同じタイプの投信2本で迷っているとしましょう。その場合、1万円ずつでいいので購入してみる。1年くらい保有すると、両者の投資先や運用報告書のわかりやすさ、何か起こったときの運用会社の対応など、両者の違いについてもわかってくると思いますよ。それからどちらか1本に絞ればいいのではないでしょうか。

中野 本当にそうですね。今回はありがとうございました。

竹川 こちらこそ、ありがとうございました。
 


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