ニュース価値の判断に現場の記者やデスクは困ったのだと思う。加計学園を巡る疑惑、共謀罪の成立、首相の国会軽視、小池都政と豊洲移転、沸騰する話題にかき消された。

 目指す理念と現実の隔たり、リアリティーに欠ける大増税、日本人に馴染みない福祉国家像――。大政党ならともかく、明日にも崩壊するかもしれない民進党が、こんな大胆な政策を担ぐ力などあるはずがない、と多くの記者は思っただろう。

 新しい時代は、古い時代の主役が跋扈する舞台の裏で、静かに産声を上げる。時代の変わり目とは、いつもそういうものだ。

 途上国型の発展が行き詰まった日本は、新たな経済システムへの移行が課題となっている。学者や専門家の間で模索される「成熟社会の経済モデル」に政党が興味を示し、真剣に検討せざるを得ない政治状況が生まれているのだ。

 前原調査会が掲げた方針が、現実とかけ離れているのは、現状は旧時代の末路にあるからだろう。新システムは現状の否定から始まるものである。

 これまでは、「経済成長と自己責任」で乗り切ってきた人生の課題を、「大きな政府の再分配」で果たそうという考えだ。

強欲資本主義が息切れ
経済政策の潮流は分配回帰へ

 分配に軸足を移す政策への回帰は、世界的潮流だろう。

 アメリカでトランプ大統領が登場し、英国が「EU離脱」へと舵を切る。グローバリゼーションの先端を走り、新自由主義経済の旗を振ったアングロサクソン国家の変調がその象徴だ。「小さな政府」と自己責任の組み合わせで企業は追い風を受けたが、庶民は取り残され、社会の安定基盤だった中間層から悲鳴が上がった。