なお、障害年金・障害者手当などの給付を受ける場合、生活保護費はその分減額されるため、毎月の生活費の総額は変わらない。加えて、年金や手当の「まとめ支給」の問題があり、月々の収入が大きく変動し、やりくりが困難になる。

肝心なところを「適正化」
できない理由とは?

 浩美さんが入所していた施設と運営団体は、現在も名称や所在地などを変えながら存続している。医療機関ではなく、したがって、医療扶助まで搾取することは不可能なのが、せめてもの救いかもしれない。

 現在の浩美さんは、調子のよいときには、聡明でオシャレで魅力的な女性だ。調子の悪いときの様子は、想像するしかない。調子が悪いと外出できないし、入院している場合もある。施設を脱走した後の浩美さんには、現在までに10回の精神科入院歴がある。

 もちろん、摂食障害は現在も続いている。昨年は拒食から栄養失調となって入院し、現在は過食状態だ。しかし、ここ数年、拒食でも致命的な事態は引き起こさず、過食は低カロリーで安価な食材によって比較的健康的に行えている。摂食障害との“付き合い”の内容は、前進を続けているようだ。

 それにしても、生活保護費でのやりくりで、自分にとって大切な費用を捻出し、「自分の生活」と言える生活を営むことは容易ではない。浩美さんは、「日本国憲法第25条の生存権には、第13条の幸福追求権が含まれているはずですよね。『この金額で幸福追求できるんかい!』というツッコミはしたいです」と、法学部出身者らしい言葉で怒る。

 しかし現在の生活については、「概して『幸せだ』と思っています。少しずつ、おかしいことは『おかしい』、わからないことは『わからない』と言えるようになってきました。でも、昔はそうじゃなかったんですよね。今言える自分で、良かったと思っています。言えない人は、もっと苦しいですから」(浩美さん)と笑顔で語る。話を聞いている私も、自分ごとのように「よかった」と思う。