「こばやし」よ、永遠に

 この店をわたしに教えてくれたのはクレイジーケンバンドのリードギタリスト、小野瀬雅生氏である。

「野地さん、不動前のこばやしのお父さん、80歳になったらやめるって言ってるから、早く行った方がいいですよ」

 それはいかんと駆けつけて食べてみた。ラーメン、ワンタン、チャーハンしか食べられなかったけれど、本当は同店の高額メニュー、かつライス、カニチャーハン、五目軟らかい焼きそば(いずれも1000円)を一度に注文して全部食べたかった。日本酒(250円)を頼んだとしても、計3250円である。腹がはちきれてもいいから、一度はやってみたい。

 ……でも、お父さんはやめてしまうのだろうか。

「保健所の営業許可は6年間で、次に切れる時は79歳なんですよ。だから、どうしようかなと思って」

 せめて85歳、いや、91歳までやってほしい。それが小野瀬氏、わたし、常連たちの心からの願いだ。

 お父さんは自分の考えを紙に書いて、店の壁に貼っている。そこにはこうある。

「小さな店である事を恥じる事はないよ、この私の小さな店に人の心の美しさをいっぱいに満たそうよ 店主」
 こばやしでラーメン、ワンタン、チャーハンを食べながら、この言葉をかみしめていると、涙があふれてきた。


「こばやし」

◆住所
東京都品川区西五反田5-23-9
◆電話
03-3491-2447
◆営業時間
営業時間 11:00~19:00 日祝休み