(左)僕のジーマ信用/(中央)さまざまなレンタルが可能になり、信用ポイントが高いとデポジットも不要/(右)図書館、病院などさまざまな場所で信用が高いと優待が受けられる

 僕の信用ポイントは583点と、初期状態よりちょっと上がったぐらいで褒められた数字ではないが、中国で公共料金の支払いなどの日常生活を送っていないと継続的に上げていくのは難しい。

 このポイントが高いと日常生活でさまざまな優待が受けられる。700ポイント以上になるとシンガポールへの長期観光ビザが簡単に下りるようになっていて、空港には専用の出国レーンがあるという(優待についてはアジアITライター・山谷剛史氏のこのレポートに詳しい)。

 この信用サービスはまだβ段階で本格的な普及はまだまだ。つい最近も700ポイントで日本の5年ビザを取りやすくするというリリースを発表し、うまくいかなくて申込者にお詫び金を払っているなど、試行錯誤を繰り返している(参考:ニュースサイト「新浪科技」の記事)。

 僕は子どもの頃、こそこそ悪いことをしてもお天道さまが見ているから、悪いことをするなと親に教えられた。貨幣経済は信用を創造して社会全体を豊かにするものなので、まっとうに商売し、消費しているほうが経済の好循環が生まれる。ジーマ信用はその「お天道さまが見ている」をビックデータにより実現するアーキテクチャだ。まるで宗教や倫理をテクノロジーで作るような試みで、SF小説を読むような面白さがある。

 人は損得勘定に合わない行動をしないという前提に立ち、Fintechのアーキテクチャをうまく導入していくことで、倫理観を向上させるサービスを生み出す。深センはまさに、その壮大な実験場だ。

「国の大部分にテクノロジーが行き渡るような豊かさを持ちつつ、社会の仕組みに大胆に踏み込んだサービスをリリースしても既存勢力からの反対が少ない」というのはアメリカと中国の強みだと思う。Airbnb(民泊)やUber(白タク)のようなベンチャーからのアイデアと、監視サービスのようなビッグブラザー的なものの両面から、社会は変わっていくのだろう。