2度にわたるシステム障害や提携ローンにおける反社会的勢力との取引など負の歴史を抱えたみずほ。企業体質を抜本的に変えるべく、佐藤康博社長が手がけた改革とは、どんなものだったのだろうか?

謝罪に追われる中で考え抜いた
みずほの抱えていた根本的問題とは?

日本中を見渡しても、ここまで社外取締役の権限を広げた会社はないというほどに、徹底したガバナンス改革を行った佐藤社長。その背景には、「二度と不祥事を起こさない」という不退転の決意があった Photo by Kazutoshi Sumitomo

 忘れもしない2013年9月、みずほは提携ローンにおける反社会的勢力との取引に関わる問題(以下、提携ローン問題)が表面化した。翌10月以降、私は2回国会に出向き、記者会見を5回行った。マスコミや関係者への対応とお詫びに追われる最中、私は頭の片隅でいつも考えていたことがあった。

 それは、「なぜ、みずほは何度も不祥事を起こしてしまうのか」ということだ。

 02年のシステム障害から始まり、11年には2度目のシステム障害、そして13年の提携ローン問題。たった十数年のうちに3度も大きな事件を引き起こしてしまった。

 みずほは、第一勧業銀行と富士銀行、日本興業銀行の3行が対等の立場で統合して誕生した。かつて、「週刊ダイヤモンド」に「みずほは頭が3つある怪獣“キングギドラ”だ」と書かれたこともあった。当時は持ち株会社のみずほフィナンシャルグループの傘下に、みずほ銀行とみずほコーポレート銀行という2つの銀行がぶら下がっており、この計3社のトップに旧3行出身がそれぞれ就任するという「3トップ制」だった。旧3行出身のトップがそれぞれの組織を率い、グループ横断の連携を深める改革ができなかったことこそ、不祥事が相次ぐ「真因」ではないかと私は考えたのだ。