京都市の米卸、京山が販売するコメの産地偽装疑惑を報じた本誌記事を受け、農林水産省は京山を検査したが、違法行為は「確認できなかった」。だが、疑惑が解消されたとは言えない。むしろ、京山の対応が新たな疑念を生んでいる。(週刊ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
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農水省は6月27日、JAグループ京都系の米卸、京山への立ち入り検査の結果を発表した。同社が販売するコメに「外国産米の混入が疑われるような点は確認されなかった」。
JA京都中央会をはじめとしたJAグループ京都は同日、「京山の潔白が証明された」と高らかに宣言した。だが、今回の検査で、本誌が2017年2月18日号で報じた中国産米の混入疑惑が解消したわけではないし、記事の真実性が揺らぐこともない。
農水省は本誌の取材に対して「京山が“潔白”とまでは言っていない。記事をきっかけに検査をしたが、検査結果と記事の正誤とは別だ」(消費・安全局消費者行政・食育課)と話した。
同省の検査に一定の制約があったのも事実だ。検査では京山と取引業者との伝票の突き合わせや聞き取りなどで、仕入量と販売量に矛盾がないかを調べた。
だが、農水省は全ての調査対象について記録を確認できたわけではない。京山の販売先の一部は廃業しており、「聞き取りはできなかった。京山が保存する記録などによる確認にとどまった」(同課)。
また、検査の権限にも限界があった。検査は米トレーサビリティ法に基づくもので「強制捜査権がない。忙しいと言われれば日を改める。警察のように問答無用で証拠資料を押収することもできない。相手の協力が前提となる」(同課)。後述するが、京山の対応は決して協力的とは言えなかった。