外資系コンサルティングファームのマネジャーであり、月間20万PV超のビジネスブログ「Outward Matrix」の運営者でもある20代の若手コンサルタントShin氏の処女作『コピー1枚すらとれなかったぼくの評価を1年で激変させた 7つの仕事術』が発売となる。本書のタイトルにあるように、もともとド落ちこぼれだったShin氏(落ちこぼれ時代のエピソードは、連載第1回をご参考ください)。彼はいったいどうやって、たった1年で外資系コンサルティングファームのマネジャーにまで上り詰めたのか――。急成長を遂げる過程で、考えたこと、学んだこと、そして実践してきたノウハウについて、Shin氏に教えていただいた。

「このままだとおまえ、一生下っ端のままだよ」

 ぼくが所属していたコンサルティングファームでは、定期的な目標設定とその振り返りがありました。もちろん普段から、課題とその改善法について上司と話し合う機会はあったのですが、より成長を促進するために、こうした機会も設けられていたのです。

 入社して半年がたった頃、初めての目標面談の日を迎えました。ぼくは、「チーム内外から頼りにされるコンサルタントになる」というふわっとした目標を書き、それをもとにその話し合いに臨むことにしました。そこで上司から言われたのが、「こういう抽象的で振り返りづらい目標を立てていると、いつまでたっても成長できないぞ。このままだとおまえ、一生下っ端のままだよ」という厳しい一言でした。

 当然、その日は、仕事が手につかないほど落ち込みました。しかしぼくは、なんだかんだ負けず嫌いです。そんなことを言われて黙っているのもしゃくに障るので、次のプロジェクトで成果を出し、上司を見返そうと考えました。

 そして半年後――。結果は、上司の言った通りになりました。そのプロジェクトで目覚しい成果を残すことができなかったばかりか、半年後にその目標を改めて見返したとき、「あれ、こんなこと書いたっけ……?」と思ってしまうようなていたらくでした。

 いまから考えれば、このような状況になるのは当然でした。「目標設定をした」と建前上はなっていましたが、当時のぼくがしたことは、単に会社から与えられた目標を「言い換えただけ」だったからです。ぼくが実施した「目標設定もどき」は、一言で言うと「もっと頑張る」でまとめられてしまう、それはそれはお粗末なものでした。

 おそらく、みなさんの会社でも定期的に目標設定をする機会があるでしょう。毎月、四半期ごと、半年ごと、1年ごと……タイミングは会社によって違うでしょうが、目標設定を実施しているはずです。そしてみなさんの中には、かつてのぼくがそうだったように、「こんなことしても意味ないよな」「面倒くさいな」と考え、しっかりと取り組めていない人もいるでしょう。その気持ちはよくわかります。「目標設定とか言う前に、まずは目の前の仕事をこなさないと始まらないだろう」という方がたくさんいるのもわかります。

 ただ、確実に言えるのは、そのまま目の前の仕事を続けているだけでは目覚しい成長を遂げることはできないということです。正しい目標設定をすると、そうした日々の仕事をこなすだけの状況が、自分の成長を日々実感しながら仕事に取り組める状態に変わります。ぼくが1年で急成長できたのも、この「正しい目標設定」を知り、実践できたことが大きな要因のひとつでした。