僕は、今日の戦争、それからこれから起こる戦争は、もはや国と国の間では起こらないと思う。高度に民主化された先進国間では戦争が起こる可能性は著しく低い。世論の柔軟な変容によって緩衝作用が働くからだ。

 エジプトの革命は、ネット(Facebook)の勝利と言われているように、今後の戦いは、国家間ではなく、『国家』『企業』『個人間の紐帯』の三つどもえで冷戦のように静かに行われるのだ。

日本脱出を考えるより先に
「個人間紐帯」での存在感を高めよう

 今後、僕たちは三つの層で必要とされるリテラシーを、それぞれバランスよく取り込まなければならないと思う。

 その意味では、「日本から脱出する」などという話は無意味である。なぜならそれは、単に『国家』という層でのみの議論にすぎないからだ。国家の枠組みでのみ考え日本という国を捨てたところで、他国でアイデンティティの喪失にあうのがオチだろう。

 今すべきことは、日本を出て行くことではない。日本という「国家」だけでなく、『企業』や『個人間の紐帯(ネットワーク)』の層における存在感の比重を高めてゆくことが必要だ。そしてそのためのリテラシーを養うことこそが大切である。

 企業におけるリテラシーは、これまでさんざん日本企業で培われてきた「協調性」や「忠誠心」、「(組織内)政治力」に加え、最近、叫ばれているビジネス英語やロジカルシンキングだろう。それらについて、ここであえて言う必要は感じない。