第2の対立軸は分権であるべきではないか
~徴税権付きの道州制の実現を~

 ところで、戦後の半世紀のわが国を一言で述べれば「まれに見る高度成長期であった」と総括できるのではないだろうか。すなわち、「(経済で)アメリカに追いつき追い越せ」という明確な国家目標があり、「1940年体制」(野口悠起雄氏)というわが国独特の中央集権的・統制経済的なシステムがフル稼働した、まさに黄金時代であった。

 しかしこれからの低成長期時代にあっては、平たく言えば、中央はすべての地方の面倒をみることができない。そもそも面倒を見るだけの税収は、もはや期待できないのである。そうであれば、地方はそれぞれの特色を活かして(地産地消等)、知恵を絞って生きてく他はない。そして、そのためには税源が必要である。

 21世紀の新しい地方分権(自治)の姿は、たとえば徴税権を地方に返還した上での道州制の導入ではないか(東京を除いて9つくらいに別ければよい)。中央政府は、現在の地方交付税とは逆に、地方政府から中央交付税を受け取ればいい。そして、中央政府の役割は外交と防衛、それに市民の生存権を確保するための皆保険・皆年金ぐらいで十分ではないか。

 では、教育はどうするのか。松下村塾の例を見るまでもなく、地方に任せても何の問題もないように思われる。各地方政府(道州)が自由に政策を競い合えば、優れた政策を実行する道州には、豊かな生活を求めて自ずと市民が移住して行くことになるだろう。政策効果も検証しやすいこと、この上ないと考える。