「増税・構造改革 vs 非増税・現状維持」を対立軸に

 野田財務相は増税論者として知られているようだ。そうであれば、増税 vs 非増税が政策の第一の対立軸となってもいい。以前のコラムで書いたように増税を支持する考えは、歳入と歳出のバランスを回復させなければ、将来世代に負担を先送りするだけであり、しかもわが国の財政状況に鑑みれば、問題を先送りする時間的余裕はもうほとんどないという認識に立脚している。

 そして、歳入と歳出のバランスを回復させるためには、ある程度は痛みを伴う構造改革を避けては通れないとする見方である。増税や構造改革を避け続け、いわばその場しのぎでだましだまし政策運営を行ってきた答えは、この失われた15年で十分すぎるほど出ているではないか、という訳である。

 これに対して、増税に異を唱える考えは、不況の克服こそが最優先課題であり、安易な増税は、とりわけ景気が低迷している現時点においては、さらに景気を下振れさせるだけだとする見方であって、わが国がこれまで採ってきた主流派的・現状維持的な物の見方であろう。

 このような意味での構造改革派や現状維持派は民主党・自民党にそれぞれ散在しており、どちらの政党がより構造改革的(あるいは現状維持的)かと言うことはできない。普通の市民としては、政策の対立軸をより明確化することによって、両政党の再編を促したいぐらいの気持ちの方がむしろ強いのではないだろうか。仮に大連立を行うのなら、いっそのこと民主党・自民党の二大政党を政策軸によって組み替えてもらった方が、選ぶ方も選びやすいと考える。