電力制約を乗り越えて
景気の回復はどうなる?

 当面の景気を展望する際、まず電力制約への注視を怠れない。政府は7月1日、東京電力と東北電力管内の大口電力需要家を対象として、37年ぶりに電力使用制限令を発動した(東北電力は9月9日まで、東京電力は9月22日まで)。

 さらに同月20日、政府は関西電力管内でも昨年夏比10%以上の節電を企業や家計に要請した。このように電力制約が強まる一方、原発の再稼動の時期もますます見通しが利かなくなった。きっかけは、突如始まったストレステスト。結果的に、今後の景気は電力制約の全国化と長期化という課題を背負って推移することとなる。

 こうした中、当社はメインシナリオとして「2012年4~6月期に向けて巡航速度を超える景気回復が続く」という見方を維持している。むろん、こうしたシナリオには多くの不確実性が伴う。

 しかし、心強い経済指標が先月末発表された。7、8月の製造工業生産予測指数(経済産業省)だ。同指数は7月前月比+2.2%、8月同+2.0%となり、4月に始まった生産の増加が夏場も続く可能性を示してくれた。

 しかも、この生産予測指数は、電力使用制限令発動後の7月10日時点の調査に基づく。電力制約を乗り越えて、景気回復が続く可能性は依然高い。

市場の目線は
第3次補正予算に移っているが……

 景気展望の材料としては、電力制約に加えて補正予算も挙げられる。実際、投資家との会話においても、市場の目線が第3次補正予算に移っていることが感じられる。

 たとえば、債券投資家にとっては同補正予算の歳入内訳(税収、国債発行など)、株式投資家にとっては歳出内訳(どのセクターが恩恵を受けそうか)から目が離せないであろう。