日米関税合意後も続く円安圧力、ドル円相場は日米金融政策“変更期待”で「145円」方向か米雇用統計の下振れを受け、急騰した円=8月1日 Photo:JIJI

日米通商合意による円高圧力
円安側面は限定的

 7月23日(日本時間)、日米は通商合意に至った。合意文書がないため詳細では両国の主張に違いがあるものの、(1)相互関税を25%から15%へ引き下げ、(2)自動車関税も25%(もともとの2.5%を加えると27.5%)から合計15%へ引き下げ、となった。

 日米間での交渉決裂が回避されたことで不確実性が後退し、日本銀行の利上げ再開期待が高まったこともあり、ドル円は7月24日に146円台から145.86円へ下落した。

 ただ、日米通商合意には円安圧力となりかねない側面もあった。(1)(筆者も含め一部に期待されていた)日銀利上げ継続などによる米国からの円高誘導政策の要請がなかった、(2)5,500億ドル規模の対米投資が含まれたこと、などだ。

 もっとも、(1)は特に材料視されなかった。(2)については、日米交渉を担当した赤澤経済財政・再生担当相によれば政府系金融機関による出資だけでなく融資や融資保証も対米投資額に含まれ、このうち出資はごく僅か(1~2%)とのことだったため、ドル買いにつながる規模は非常に小さいことが明らかとなった。