それが第1次政権の「お友達内閣」と重なる「身びいき」と受け取られ、安倍に対する世論の離反を招いたことは間違いない。

 人事の着手に当たって、自民党のベテラン幹部はこう助言していた。

「お友達はご法度。一番遠い人から起用しなければ、政権は持たなくなる。石破さんにも声を掛けたらいい。断られたらそのことを表に出せばいいじゃないか」

 しかし石破の入閣はなく、野田が「遠い人」の象徴になったが、このことで安倍が改造前に繰り返した「人心一新」には程遠い印象しかない。

「守り」に比重を置き過ぎて
見えない政策メッセージ

 確かに、閣僚経験者を多数入閣させたことで、「安全運転最優先」の安倍の危機感は伝わる。とはいえ、この内閣は「守り」を固めることに比重を置き過ぎて、政策的に何を目指す政権なのかというメッセージが伝わってこない。

 とりわけ欠落しているのは「戦備え」だ。

 衆院議員の任期満了は来年12月で、残すところ1年4ヵ月。与党公明党代表の山口那津男も選挙が近いことを繰り返している。

「衆院議員の任期満了まで1年ちょっとしかない。選挙がいつあってもおかしくないという心構えだ。これまでの(解散は来年9月の自民党総裁選後という)相場観に依存してはならない」

 しかし、安倍は選挙の要である自民党選挙対策委員長に出身派閥の細田派事務総長、塩谷立(67)を起用した。塩谷は温厚な人柄で敵も少ないが、議員が生き残りを懸け、修羅場と化す候補者調整には不向きな人材だ。

 それを考慮してか、幹事長に留任した二階俊博(78)は、これまでなかった選対委員長代理を新設して側近の幹事長代理、林幹雄(70)を兼務させることを決めた。

 内閣を改造しても、支持率の低落に歯止めがかからなければ、解散権の行使も厳しくなる。そう考えると、安倍の意図は「衆院解散」より、むしろ「自民党総裁選」にあるのかもしれない。(敬称略)