1.衰退する先進国
市場のパニックはようやく収まりつつある。バーナンキ議長の巧みな演説も貢献した。先週金曜日はジャクソンホールで、QE3に言及せず、楽観的な景気見通しを打ち出し、次回FOMC(9月20日)を2日間に延期した。
金融市場に実体経済を見極める猶予期間を与えた形になる。すでに金価格が反落し、米国債利回りも下げ止まっている(図表1参照)。
経済指標は斑模様であるが、マインド悪化とは裏腹に実際の生産は底堅い。景気腰折れのリスクは限られる。それでも、信用不安の連鎖は脈々と続いている。
たとえば、短期金融市場の逼迫状態はユーロで深刻化し、米ドル、そしてスイスフランにまで波及している。ギリシャ国債の担保問題など、根深い金融不安が底流にあるからだ(図表2参照)。