読者のメンターとして4通りの読み方を提案
――この本のユニークなのは、「4通りの読み方」を提案しているんですよね。
はい。どれも作っていくうちに、関わった人たちから「わたしはこう読む!」みたいなパターンが出てきたのと、印刷前に読んでくださった読者のみなさんからも意見をもらってできました。なので、提案というか、みなさんに考えてもらったようなものです。
どういうものかというと、1つ目は占いのような読み方です。パッと開いたページに書いてあることを自分へのメッセージとして受け取る。「なぜだか、一番欲しいメッセージが“当たる”」と言う方が多くて、面白いですよ。2つ目は、本を、「上司の代わり」、「母親の代わり」に活用すること。年齢を重ねると、叱ったり喝を入れてくれる人はなかなか周囲にいないものです。この本には、やさしい言葉だけじゃなく気持ちを入れ替えるための強い言葉も書かれています。3つ目は章ごとに読む方法。「Commitment」「Positive」「Work」「Communication」「Enjoy」の5つのテーマから成り立っていますので、ご自身が強化したいテーマを重点的に読んでください。4つ目は王道の、はじめから順に読む、です。
――まるでメンターのようですね。時には叱ってくれたり励ましてくれる存在。
そうですね、「読む」という本への概念を一度捨ててみてもいいのかもしれません。例えば、ビジネス書はハウツー本なので、読者は即座に役立つ新しい情報を取りに行きますよね。でもこの本の役割は、心を元気に、強くすることです。心は、それまで食べてきた言葉でできていますから。じわじわと効いてきます。
どれだけたくさんの情報を得ても、人間の厚みはでません。仮に、あっという間に読めて読後感ゼロだったとお感じになるのなら、言葉を咀嚼できていないのかもしれません。何度も読み返して、よく噛んで、心の中に吸収させてこそ、この本に価値が出てくるのだと思います。
――言葉をスピーディに咀嚼するコツはありますか?
通勤や外回りのお供として、くじけそうになったときのバイブルとして、好きなときに、好きな場所で、自由にページをめくってください。あとは、自分の好きな言葉を手書きで書き出すことで、自然に脳に定着します。そうなれば知らず知らずのうちに、自分の言葉として使うようになります。
――本日はありがとうございました。