新年度も、嫌なことがあったら、志麻さんレシピで笑顔になるっきゃない。
休日こそ、いつもの冷蔵庫の食材が簡単! 贅沢レシピに大変身! もう献立に迷わない!
「伝説の家政婦」志麻さん初の著書『志麻さんのプレミアムな作りおき』が「レシピだけでなく志麻さんの手際が実況中継でわかる」と発売6年経っても驚異のロングセラーとなっている。本書は数ある志麻さん本でも志麻さん自身の愛着も半端なく、「料理レシピ本大賞料理部門に入賞」した唯一の本だ。
さらに、志麻さん初の直筆エッセイ・レシピ書『厨房から台所へ――志麻さんの思い出レシピ31』の勢いも止まらない。読者から「涙が止まらなかった」という感想が続出。読売新聞書評で東大教授に絶賛された。
冷蔵庫にあるふつうの食材が、なぜ、ワンランク上の「簡単! 贅沢レシピ」に変身するのか? これさえ覚えておけば、平日多忙なお父さんお母さんも、尊敬の眼差しを浴びるかもしれない。
百聞は一見にしかず。今回は担当編集が志麻さんレシピを実際に試してみた。一体どうなったか?
(撮影:新居明子、構成:寺田庸二)――(こちらは2019年3月17日付け記事を再掲載したものです)
デミグラスソースがなくても
小麦粉がなくてもできる不思議
『志麻さんのプレミアムな作りおき』編集担当の私(週末の特製チャーハン以外、平日はほとんど料理をしない)は、先日、本書p.106のレシピをもとに、「トマト缶」を使ったハヤシライスに挑戦しました。
私がこれまで食べてきたハヤシライスは、デミグラスソースたっぷりのこってりとしたものです。
しかし、志麻さんのハヤシライスは、違います。
トマトのみずみずしさがにじみ出て、肉のうまみが凝縮したシンプルで“すっきりとした”ハヤシライス! しかも、市販のルーも小麦粉も一切使わない!
はたして、市販のルーも小麦粉も使わずに、基本、トマト缶と中濃ソースとケチャップで、さらっとした口当たりのハヤシライスが作れたのでしょうか?
週末、私は、子どもたちを連れて、スーパーの「ライフ」(ライフコーポレーション)に行きました。私がよく行くライフの何がいいかというと、とにかくゆったりと買い物ができることです。私はスーパーの買い物が大好きで、買い物中は至福のひと時。食材を見ているだけで、なぜか癒されます。
店内をなにげに歩いていると、イタリア直輸入の1個88円(税抜、当時)の特売トマト缶がどーんと「買え!」とばかり陳列されているではありませんか。
カット缶とホール缶が両方あったのですが、「これだ」と思い、カット缶を2個購入しました。
私は牛肉よりも豚肉、鶏肉のほうが好きなので、ふだん、ほとんど牛肉を買いません。
しかし、この日の私は違いました。
『志麻さんのプレミアムな作りおき』にあった、トマト缶を使ったハヤシライスがどうしても作りたくて食べたくて……(小さい頃はカレーライスよりも、気持ちハヤシライスのほうが好きだったから)。おもいきって奮発し、牛肉売場に行ったのです。オーストラリア産、米国産などいろいろありましたが、ちっちゃなパックの国産を選択。特売たまねぎも買って、これで準備万端です。
帰宅後、志麻さんのレシピどおり、たまねぎ、牛肉、トマト缶だけで、シンプルなハヤシライスを作りました。
途中、味見をしてみると、子どもたちには酸味がやや強いのでは? と思い、隠し味に砂糖とこしょうを入れて調整。本を見ながらやってみると、こんな私でも、非常にみずみずしいシンプル・イズ・ベストなハヤシライスができたのです。
しかし、あの野性児たちが本当に食べてくれるかどうか? これはまた違う問題。さあ、一体どうなったのか?