つまり、家計金融純資産額が家計バランスシートのネットの数字であるのに対して、国と地方の借金総額は政府のバランスシートの負債だけのグロスの数字だ。基準の違うネットの数字とグロスの数字を比較しても意味がない。それにもかかわらず、五十嵐財務副大臣は財政再建の必要性を強調しており、これはかなりミスリーディングだ。

 ちなみに、日銀の資金循環勘定では一般政府のバランスシートもあり、そこでは家計部門と同様に、ネットの数字である金融資産負債差額が計上されている。五十嵐財務副大臣がテレビで紹介した図の上に、一般政府の金融資産負債差額を重ねたものが図3だ。まだまだ、余裕があることが一目瞭然である。

増税ムードを作りたい<br />野田政権の姑息な手口

 今、新聞各紙は増税一色である。そのためにいろいろな数字が出されているが、怪しいモノも少なくない。国民は正しい情報のもとに判断する必要があるが、原発事故と同様に、増税論議でも政府から出される資料は、信頼できるかどうか怪しいということを頭に入れておくべきだ。